横浜市立市民病院 副病院長 小松 弘一先生 2015年7月

横浜市立市民病院は急性期を中心とした総合的な病院であり、がん、救急、周産期、災害医療など、地域から必要とされる政策的医療および高度急性期医療に積極的に取り組んでいます。がん診療においては、がん検診センターを併設する病院としての強みを活かし、検診による発見時から各部門の連携により、高度で一体的な医療を提供しています。救急医療においては、市民医療の最後の砦として断らない救急の実現に向け、24時間365日体制の救急医療の維持・充実に取り組んでいます。周産期医療においては、産科拠点病院および地域周産期母子医療センターとして、引き続き地域の出産のニーズに対応し、ハイリスク分娩にも確実に対応します。また、神奈川県内唯一の第一種感染症指定医療機関として専門スタッフを配置し、万一の場合に備えています。例えばエボラ出血熱が県内で発生した場合には当院のみ収容が可能となります。そして横浜市で唯一の第二種感染症指定医療機関ですので、最近韓国で問題となった中東呼吸器症候群(MERS)が横浜市内で発生した場合も当院に収容することになります。さらに、地域医療において先導的な役割を果たし、広く地域を支える人材を育成することなどより、地域医療全体の質の向上に貢献してきました。このように当院は慶應の関連病院の中では3施設しかないDPCⅡ群に属する病院として、自他ともに認める正真正銘の高度急性期医療を担っています。

平成16年から開始された新臨床研修制度は医師としての人格を涵養し、プライマリ・ケアへの理解を深め、患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得することを目的としています。当院では以前より研修制度を行っておりましたが、指導医のみならず、看護師や技師、事務などの協力も得た病院挙げてのサポートの甲斐あって質の高い研修が受けられると医学生の間でも評判になっております。毎年、厚生労働省から発表される第一志望者数は全国に数百ある研修病院の中で当院は6年連続でベストテンに入っております。日本全国に「横浜市立市民病院」の名前が知られるところとなり、ブランド病院への仲間入りといった感じです。

しかし、もっとも新しい建物でも築25年が経過しており、設備の老朽化・狭隘化が問題となっております。そのため、当院は平成32年度の新病院開院を目指して再整備を進めています。新病院建設予定地は民有地とともに三ツ沢公園の一部を病院敷地に転換するため、公園との一体的な整備に向けて病院周辺環境の整備についても検討してまいります。全職員が一丸となって魅力ある病院づくりを進めてまいりますので、是非、期待していただければと思っております。

【新病院イメージ図】
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